高齢者と明かり


高齢化すると、加齢による視覚特性の変化に対応した明るさが必要になります。

 

視覚特性は年齢とともに低下し、40代後半からは高齢者の範疇に入って来ます。

高齢になるほど物が見えにくくなり、不快に感じる度合いが大きいといわれています。

加齢とともに変化する感覚機能に対する対応が求められます。

 

昼間、外部から戻って玄関に入った時に、外部との明るさに差があると、1分近く慣れるまで

時間がかかるので、高齢者にとっては転倒の恐れがあり注意が必要です。

住いの明暗の差は、高齢者にとって要注意です。

また、加齢により、受光量が減少するとメラトニンの分泌低下の原因となり、高齢者の不眠を

引き起こすことがあるので、生活習慣を見直し、光を浴びることに心がけることも必要です。

 

加齢とともに、室内に閉じこもりがちな高齢者は体内時計のリセットが可能な太陽光を見る

ことが少なく、位相が不安定になっている現実があります。その結果、概日リズムが昼夜逆転

することがあり、夜間の徘徊やせん妄(意識障害)など、介護者にとって大きな負担となる

病態が生じる場合があります。

 

高齢者の概日リズムをいかにして好適に保つかは、介護者にとって高齢社会の大きな課題だといえます。

 

特に、施設入居者は、一日の多くを人工照明下の室内で過ごすことが多く、入居者の健康維持のために概日リズムの好適な環境づくりとして、自然光による室内照明を提案します。自然光は演色性がすぐれているので、人の顔が明るく健康に見え、食事がおいしそうに見えます。