太陽光と健康


太陽がつくる一日のリズム(概日リズム)

 

太陽の光と密接に関わっている物質にメラトニンとセロトニンがあります。

メラトニンは『催眠効果』による夜間の睡眠を制御し、セロトニンは『覚醒効果』による日中の覚醒を制御しています。

セロトニンが『昼の活動』に、メラトニンは『夜の眠り』に関係するもので、両者は関係性の深い物質です。体内時計に働きかけることで、覚醒と睡眠を切り替えて、自然な眠りを誘う作用があり、「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。 

 

メラトニンは副交感神経系、セロトニンは交感神経系とセットになっています。

夜になると分泌されるメラトニンと、昼に活性化するセロトニン、この2つの関係は自律神経系の働きとも合致していますので、これらが不足すると自律神経の働きにも影響します。

 

とかく夜型になりがちな現代社会にあって、あらためて太陽光と私たちの関係について再認識をする必要がありますね。

 

メラトニンは夜になると分泌量が増えるので、セロトニンをつくるためには、日中に太陽光を浴びておく必要があります。

人は、日の出とともに活動して、日没になったら休むというサイクルで生活してきました。

ところが、この1世紀の間に、電気が使われ始め、現代人は夜遅くまで強い照明を浴び、また交代勤務や時差勤務体制の増加に伴い、夜に活動して昼間に眠るなど自然の昼夜とは異なった明暗サイクルで生活する機会も増えました。

 

このようなライフスタイルの変化が体内時計の機能不全の引き金となり、概日リズム(サーカディアンリズム)障害を引き起こすようになりました。 

概日リズム睡眠障害

 

日中に活動して夜になると休息するというリズムを作り出しているのが体内時計ですが、

慢性的に体内時計が狂うと、自分の望むタイミングでは眠れなくなります。

 

これが概日リズム睡眠障害と呼ばれる病気です。

 

概日リズム(=体内時計)の故障によって生じる睡眠障害ということです。

「眠りたいのに、なかなか眠られない」、「だんだん寝る時間が遅くなってしまう」このような症状には気をつけたいものです。

 

光は7色の虹の色で構成されており、波長の短い青色の光がメラトニンを抑制すると言われています。

人工光の進化で社会活動が大きく拡大しましたが、使う時間や場所によっては注意をしたいものです。

日中、暗い家の中で電気の生活をしているとストレスを感じることがありますが、これは白い蛍光灯やLED照明が自然光との違いを表しており、特にパソコンやスマホなどの青色の強い光は注意が必要です。

 

 

睡眠障害は、うつ病や認知症などの病気を招く

 

概日リズムの障害によって、セロトニンが不足すると、意欲の減退や無気力、また、強い抑うつ症状が現れるようになります。

 

こうした症状はうつ病の症状として知られており、セロトニン不足とうつ病には強い関係があることが知られています。

 

また、セロトニンが不足したとき、セロトニンによって合成されているメラトニンも不足するため、メラトニンが本来発揮するべき催眠効果が十分に発揮されなくなり、多くの場合で不眠症状が現れます。

さらに、睡眠障害は、うつ病、ガンなど多くの病気の引き金になるといわれていますので、日常生活をするうえで生体リズムへの配慮は必要ですね。